1945年
戦況悪化に耐え切れず、若き勝雄(高橋里央)は特別攻撃隊に志願した。勝雄にはすでに将来の展望も死への恐れもなかった。だが、勝雄を弟のように可愛がる飛曹長、阿部(長谷川奨)と親交を育むうちに、写真でしか知らぬ阿部の妹、静子への恋慕が芽生え始め、死へと急ぐ刹那的な感情を引き止めたのだった。
いよいよ
出撃命令が下されたある日、運悪く高熱を発した勝雄は、出撃を断念するも勝雄の代わりに阿部が出撃する事となってしまう。そして、阿部は戻らぬまま終戦を迎えた。
あれから70年─
余命半年と宣告された勝雄(奥野匡)は罪滅ぼしにと阿部の菩提寺、山形県天童市の若松寺へと向かった。そこで偶然、静子の娘紀和(高橋かおり)に出逢い、静子がすでに他界した事実を知った。勝雄は罪の意識に苛まれて、この寺の風習「むかさり」を執り行う事を決意した。その後、勝雄は紀和と親密な時間を過ごすうち、二人の運命の糸が少しづつ絡み合っていくのを、感じていた。
※小説『空人』および映画『空人』の物語は、原作者の実体験と伝聞をもとに創作されたフィクションです。